フィンセはナンバー1

「どうして、言ってくれなかったの?あたし、てっきり直也君が助けてくれたのかと勘違いして……」

 その後は、言葉に詰まった。

「そのまま、勘違いしてろよ。その方が、あんたのためだし」

「……穂乃花ちゃんが言った通り、お父さんの友達の子供だから、助けてくれただけなの?」

「あいつ、そんなこと言ったのかよー」

 りく君は、ため息混じりに言う。

「ねえ……。本当のこと言ってー!」


 真実が知りたくて、つい感情的になってしまう。


「目の前で、人が落ちようとしているのに普通、誰だって助けるだろー」

「……」


 そうか、そうだよね……。

 穂乃花ちゃんに言われて、動揺していたけどー、考えてみれば、りく君の言う通りかも知れない。


「ごめんなさいー。変なこと聞いて……」

 穂乃花ちゃんのペースにのせられるなんて、自分が情けない。


「俺とは関係なくなったことだし、余計なこと考えないで、彼氏と仲良くしてろよ」

「……」

 りく君の言葉に、胸が締め付けられる。

「じゃあな」

 りく君が、松葉杖を使って、おぼつかない様子で歩いて行こうとした時、バランスを崩して倒れそうになった。