フィンセはナンバー1


「琴音の気持ち知ってて、付き合ってるんだから、謝らなくていいよ」

「……」

 何かそう言われると、すまない気持ちで一杯になった。



 りく君が松葉杖をつきながら学校に登校できるようになったのは、何日か過ぎてからのことだった。


「りくー。大丈夫?」

 移動授業が終わって、渡り廊下を渡って教室へ戻る途中。

 りく君が登校してきたそうそう、女子達に囲まれていた。


「みんな、心配してくれてありがとうな」

 りく君は、みんなに愛想良く振る舞った。


 久し振りに見るりく君の顔は、少しやつれているみたいに見えた。


 あたしが、その横を通ろうとした時、りく君があたしに気づいてこっちを見た。

 どきん!

 あたしの鼓動が速くなる。

 慌てて、りく君と目が合わないように、その場を通り過ぎた。

「はぁー」

 丁度、誰にも見えない階段の下の死角に潜り込むと、あたしは、溜め息をついた。

 りく君のこと諦めようと、直也君と付き合い始めたのに、りく君の顔を見たら、自分の気持ちが揺らいでしまう。


「こんな所にいたのか」

 せっかく、早足で通り過ぎたのに、りく君があたしを追いかけて来た。