「琴音の気持ち知ってて、付き合ってるんだから、謝らなくていいよ」
「……」
何かそう言われると、すまない気持ちで一杯になった。
りく君が松葉杖をつきながら学校に登校できるようになったのは、何日か過ぎてからのことだった。
「りくー。大丈夫?」
移動授業が終わって、渡り廊下を渡って教室へ戻る途中。
りく君が登校してきたそうそう、女子達に囲まれていた。
「みんな、心配してくれてありがとうな」
りく君は、みんなに愛想良く振る舞った。
久し振りに見るりく君の顔は、少しやつれているみたいに見えた。
あたしが、その横を通ろうとした時、りく君があたしに気づいてこっちを見た。
どきん!
あたしの鼓動が速くなる。
慌てて、りく君と目が合わないように、その場を通り過ぎた。
「はぁー」
丁度、誰にも見えない階段の下の死角に潜り込むと、あたしは、溜め息をついた。
りく君のこと諦めようと、直也君と付き合い始めたのに、りく君の顔を見たら、自分の気持ちが揺らいでしまう。
「こんな所にいたのか」
せっかく、早足で通り過ぎたのに、りく君があたしを追いかけて来た。
