フィンセはナンバー1


 病院の出口に向かう途中、自販機で、運転手さんが椅子に座って、コーヒーを飲んでいた。

「いえ、寝ていたので……。でも、無事みたいなので、安心しました」



 金森さんが言っていたことを、運転手さんに話して、おじさんに伝えてもらうことにした。


『あなたが近くにいると、りくが不幸になる』
穂乃花ちゃんの言葉が、呪文のように蘇ってくる。


 やっぱり、りく君には、穂乃花ちゃんがお似合いなんだ……。


 それから、何度か病院へお見舞いに行こうとしたものの、なかなか行けずにいた。



 それから、何日か過ぎ、昼休みに、南君を屋上へ呼び出した。

「南君ー。この間の返事のことだけど。南君の彼女にしてください」


 付き合うかどうか、よく考えた結果、付き合うことに決めた。

「まだ、りくのこと、好きなんだろう?本当にいいのか?」

 南君は、確かめるように、あたしの顔を覗き込んだ。

「うん……」

 あたしは、小さく頷いて見せた。

「やったー!」

 南君は、あたしをギュッと抱き締めた。

「坂口さんのこと、大切にするよ。少しずつでいいから、俺のこと好きになって」

 あたしは、南君の腕の中で頷いた。