フィンセはナンバー1


 人気者の南君とあたしが付き合い始めたことは、すぐに校内中の噂になった。

「琴音ー。南君と、付き合ってるって本当?」

 朝から、クラスの子達に聞かれて、何て言っていいのかわからないでいた。

「本当だよ」

 南君は、いつもあたしの代わりに応えてくれる。

 一週間だけの約束なのに、今から、こんなに噂になっちゃっていいのかな……。


 なんとなく、気まずくて、あたしは教室を出た。



 裏庭でのんびりしようと思ったら、先約がいた。



 本に隠れていて、顔はよくわからないけど、ベンチに横になったまま眠ってしまったみたいだ。


 あたしは、そっと近づいた。
 本というより、台本だ。

 て、ことはー。りく君!?


 あたしは、そっと台本を持つと、相手の顔を覗いた。


 やっぱり、りく君だー。

 久し振りに間近で見ると、胸がキュンとしてしまう。


 でも、待ってー。りく君のおでこに、青あざができていて、その上に絆創膏が貼ってある。

 髪で隠れるから、目立たないけど、この傷。どうしたんだろう?


 あたしが、じっと見つめていたら、りく君が目を覚ました。

「ご、ごめん!」