フィンセはナンバー1


 そんなりく君に、妬いてもらえるなんて夢みたいだ。

「言っておくけど、妬いてるわけじゃないからな。別に、そっちが誰と付き合おうと、俺には関係ないことだしな」

「べ、別にー。南君は彼氏ってわけ……」

 彼氏じゃないことを言おうとした時だった。

「りく!こんな所にいたんだ」

 穂乃花ちゃんが、走ってくるのが見えた。

「マネージャーが、りくのこと捜してたよ」

 穂乃花ちゃんは、後ろからりく君に抱きついた。

「わかった」

 りく君は、ベンチから立ち上がる。

「誰?この子」

 穂乃花ちゃんが、くりっとした目であたしの方をチラッと見た。

「俺のファンなんだってさ」

「ふーん。仲良さそうにしてたから、てっきり、知り合いなのかと思った」

「仲良さそうって、こいつとか?」

 りく君は、ふっと鼻で笑う。

「ファンに、こいつって呼んだー。怪しい……」

「考えすぎだって。ほら、行くぞ!」

 りく君は、穂乃花ちゃんを促して歩き出した。

「あ、待ってよ、りくー!」

 穂乃花ちゃんは、りく君を追いかけると、腕を絡ませた。

 りく君は、穂乃花ちゃんと何か一言、話すと穂乃花ちゃんの髪をくしゃとした。