フィンセはナンバー1



 あたしと南君は、手をつないだまま階段を降りていった。


「はい!オッケーです」

 スタッフのかけ声で、みんなの緊張感がほぐれる。


「お疲れ様!君達、なかなか良かったよ」

 スタッフが、あたしと南君に声をかけてくれた。


「有り難うございます!」

 南君が、嬉しそうな顔で言う。

「じゃ、お疲れー!」

 スタッフは、忙しそうに戻っていった。


 あたしも、緊張が解れて、何だか溜め息をついてしまった。

「南君、ごめん。外の空気吸ってくるね」

 あたしは、足早に校舎裏に向かった。

 校舎裏は、ベンチや花壇があって、落ち着くので、結構、お昼の時間に利用している。


 あたしは、ベンチの方へ歩いていったけど、先に先約がいた。


 せっかく、誰もいないと思って来たのにー。

 ベンチに座っている人の顔をちらっと見ると、その顔はりく君だった。

「何だー。あんたか」

 りく君は、あたしに気づいて、振り向いた。

「その、あんたって言う呼び方、やめてくれない?坂口琴音って名前があるんだからー。また、呼んだら、フィアンセだってバラすから」

 ムスッとした顔で、頬を膨らませた。