フィンセはナンバー1


「教室や廊下は始めに撮影しますので、エキストラの人は、自由に動いてください!それでは、撮影を始めまーす」

 スタッフのかけ声で、みんな緊張した顔で動き出した。

 あたしは南君と並んで、階段を降り始めた。

 階段の踊り場では、りく君と穂乃花ちゃんが向き合って話している。

「昴、あたし達も前はあの子達みたいに、何でも話せるくらい、仲良かったよね……」

 穂乃花ちゃんが、寂しそうな顔で、横を通り過ぎる、あたし達の方へ目をやった。

「南君……。あたし達、注目されてるよね……」

 あたしは、段々と冷や汗をかき始めた。

 りく君の方は、あたしがいることに少し驚いているみたい。

「留学を勝手に決めたことは、謝るよ。でも、離れていても玲菜と別れる気はないよ」

 りく君が、穂乃花ちゃんを抱き締めた。


 チクン……。

 2人が、屋上でキスしていたことを思い出して、動揺してしまう。


「坂口さん。大丈夫か?」

 南君が、あたしの手を握り締めた。

「あの……。南君」

 いきなり、手を握り締められて、慌てた顔をさせた。

「ごめん。緊張を解そうと思ってー。このまま降りていこう」

「……」