フィンセはナンバー1


「次のシーンはエキストラの方も入るので、準備お願いしまーす」

 いよいよ、あたしも出る番みたいだ。


 何か、緊張してきたー。


 緊張を解すのに、外の空気を吸おうと屋上へ行ってみた。


「りくー」

 ドアを開けると、りく君と穂乃花ちゃんがいるのが目に入った。


「撮影が終わったら、久し振りに、りくの家に行ってもいいでしょ?」

 穂乃花ちゃんが、甘えた声でりく君に言った。

「撮影が終わったら、モデルの仕事があるから穂乃花が来てもいないぜ」

「もぅー。最近、つれないんだから!」

 穂乃花ちゃんが、りく君が着ている制服のネクタイを掴むと、りく君の唇にキスをした。


 ズキン!!


 あたしは、愕然とした。


 今、キスしたよね……?


「ま、りくのそういう所が好きなんだけどね」

 穂乃花ちゃんは、りく君に笑いかけた。


 知らなかった。2人がそういう関係だったなんて……。

 だから、婚約のこと認めないって言ったのかな……?

 あたしも、りく君のことフィアンセだなんて、認めないなんて言ったけど、
心の何処かでフィアンセが、りく君で良かったって言う気持ちもあった。

「坂口さん」