フィンセはナンバー1


「み、南君ー。あたしは、いいから先に帰って。じゃないと、南君が、みんなに誤解されちゃう……」

 あたしは、立ち止まると、すまなさそうに言った。

「俺は、誤解されても構わない」

「え……?」

 あたしは、ドキンとする。

「俺、本当は隣の席になる前から、坂口さんのこと、いつも、気になってたんだ」


 全然、知らなかったー。


 南君の周りには、いつも人が集まっていて、あたしのことなんて、気にもとめていないのかと思ってたのにー。



「あの、南君……」

 あたしは、何て言ったらいいのか、言葉に詰まった。

「それでー、いつの間にか、坂口さんのこと好きになっててー。良かったら、俺と付き合わないか?」

「……!!」

 突然の告白に、あたしは呆然としてしまった。

「すぐには、返事はいいから、考えといてくれないかな?」

「……」

 あたしは、ただ頷くことしかできなかった。




「りく君のドラマのロケ。うちの学校でやるんだって!」


 翌日ー。

 学校へ行くと、りく君が出演している、今話題のドラマ「ラブスクール」のロケを、うちの学校でやると話題でもちきりになっていた。