あたしは、何が起こったのかわからなかった。
「俺の彼女からでもいいんだ。付き合ってくれないか?」
「……!?」
りく君の言葉に、あたしは、驚きを隠せないでいた。
「どうして、急に……。りく君、あたしのこと嫌いなんじゃなかったの?それに、フィアンセだって認めないって……」
「そう言ったのは……フィアンセだとばれると、今回みたいに、マスコミに追いかけられて、琴音が怖い思いするんじゃないかと思ったんだー」
りく君は、あたしから身体を離すと、真剣な瞳であたしの顔を見つめた。
「じゃ、じゃあ……わざとあんなこと言ったのー?」
胸の辺りが暖かい物が、じんわりと込みあがってきた。
りく君は、黙って頷いた。
「……!!」
「琴音は、俺のこと嫌いか……?」
りく君に聞かれてあたしは、大きく横に首を振った。
「好きだよ……。あたし……マスコミに、追いかけられることがあっても、また、りく君のフィアンセになりたい……」
「琴音……。あいつとは別れてくれないか……?」
音楽室で言った時みたいに、りく君はもう一度、同じ言葉を口にした。
「……やっぱり、知らないんだ?あたしと直也君が
