フィンセはナンバー1


 あたしは、何が起こったのかわからなかった。

「俺の彼女からでもいいんだ。付き合ってくれないか?」

「……!?」


 りく君の言葉に、あたしは、驚きを隠せないでいた。


「どうして、急に……。りく君、あたしのこと嫌いなんじゃなかったの?それに、フィアンセだって認めないって……」

「そう言ったのは……フィアンセだとばれると、今回みたいに、マスコミに追いかけられて、琴音が怖い思いするんじゃないかと思ったんだー」

 りく君は、あたしから身体を離すと、真剣な瞳であたしの顔を見つめた。

「じゃ、じゃあ……わざとあんなこと言ったのー?」

 胸の辺りが暖かい物が、じんわりと込みあがってきた。


 りく君は、黙って頷いた。

「……!!」

「琴音は、俺のこと嫌いか……?」

 りく君に聞かれてあたしは、大きく横に首を振った。

「好きだよ……。あたし……マスコミに、追いかけられることがあっても、また、りく君のフィアンセになりたい……」

「琴音……。あいつとは別れてくれないか……?」

 音楽室で言った時みたいに、りく君はもう一度、同じ言葉を口にした。

「……やっぱり、知らないんだ?あたしと直也君が