フィンセはナンバー1


『琴音には特別に優しいよね』

 前に、未来が言っていた言葉を思い出す。

 こんなに、想ってくれる人を裏切ったなんて、自分を責めてしまう。


「な、直也君。ジャンパー、お借りします……」

 直也君に申し訳なくて、お詫びのしるしに、ジャンパーを貸してもらうことにした。


「良かったー」

 直也君は、ホッとした顔で胸をなで下ろした。

「そうだ!飲み物を配らないと」

 教室の隅に置いてある、飲み物が入っている箱を、直也君は急いで持って行こうとした。

「直也君、待って!」

 あたしも、慌てて箱を持つと、直也君の後について行った。


「実行委員ー!遅いぞ」

 校庭に行くと、クラスの担任が待ちくたびれた顔で、あたし達に向かって叫んだ。


 いくら、実行委員だからって、人使いが荒い。


 あたしと直也君が、何とかクラス全員に飲み物を配り終わると、クラスのみんなは、それぞれ、好きな場所に散らばって行った。


 後は、花火が上がるのを待つばかり。


『花火を見ながらキスをすると、そのカップルは幸せになれる』

 その、ジンクスがあるせいか、さすがに、カップル同士で花火を見る人が多いみたい。