フィンセはナンバー1


 直也君は唖然とした顔で、あたしを見た。

「ごめん……直也君。未来が、この衣装を着てって言うものだから……」

「ふーん?」

 直也君は、少し首を傾げた。


 未来は、仕事が終わってからでいいからって言ったのに、何故か、今のほうがいい気がして、つい着替えてしまった。

 でも、もう季節は秋。外に行くには、この格好では少し肌寒い。


「ごめん、今すぐ着替えるから……」

 あたしは、急いで制服に着替えようとした。

「いいよ、そのままでー。これ、着てろよ」

 そう言って、直也君はあたしにジャンパーをかけてくれた。

「い、いいよ!すぐ、着替えるからー」

 あたしは、ジャンパーを直也君に返そうとした。

「俺が、着ててほしいんだー。ごめん……俺達、別れたのに元カレのジャンパーなんて着たくないよな……」

 直也君が、少し淋しそうな顔で言う。


「そ、そんなことないよ……ただ、別れたのあたしが原因なのに、こんな事までしてもらう、資格がないって言うか何て言うか……」

 あたしは、言葉に詰まって俯いた。

「じゃあ、友達としてならいいだろ?琴音が風邪を引くと心配だしなー」


 何て優しいだろう。