溜め息をついて歩き出した時だった。
急に、後ろから腕を掴まれ、資料室の中へ連れ込まれた。
「な、何するのよ!?」
あたしは、慌てて手を払いのけると、相手の顔を見た。
「り、りく!」
あたしは、声を荒立てた。
「バ、バカ!声を出すなよ」
りく君に、手で口を塞がれて、あたしは苦しくて、じたばたした。
「あ、悪いー」
りく君は、パッとあたしの口から手を離した。
「何やってるのよ。みんな捜してるわよ」
みんなから逃れるために、隠れているのはわかってるけど、わざと聞いてしまう。
「わかってる。それより、俺がフィアンセだって言っていないだろうな?」
「い、言うってないわよ」
あたしは、ムスッとしながら応えた。
まんがいちバレたりしたら、学校中だけじゃない、あちこち大騒ぎになってしまう。
「口が裂けても、言うなよ。この前も言ったけど、俺は認めてないんだからな」
りく君は、念を押すと、ドアを開けて廊下へ出ていった。
「りくー!何処に行ってたの?」
廊下から、女子達の声が聞こえてきた。
「ごめん。学校の中、探検してた」
「何だー。言ってくれれば案内したのに」
