フィンセはナンバー1


「……」

 確かに、直也君の前だと、やけに、しおらしい。


「ありがとうございました!」

 撮影が終わると、女の子は直也君と一緒に写っている写真を持って、教室を出て行った。

「参ったな……。あの子、俺のメアド教えろって、しつこくてさー」

 直也君は、照れながら白衣を脱いだ。

「メアド、教えたの?」

 あたしは、何だか少し気になって、聞いてみた。

「教えるわけないだろー」

 直也君は、また自分の仕事に戻って行った。

「あれは、まだ琴音の事が好きだね。じゃなきゃ、メアドを教えるよ」

 未来が、ニヤニヤしながらあたしを見る。

「……」

 直也君が、メアドを教えなくて、ホッとしたような複雑な気持ちだ。


 りく君、目当てばかりだと思っていたけど、その後も、直也君を目当てに来る子がいて、直也君も少し困っている様子だった。



「琴音ー。そろそろ、交替の時間だよ」

 未来が、時計を気にしながら言うと、

「そろそろ、りくも来るだろうし、あたしは、衣装の準備してくるね」

 いそいそと衣装室に行ってしまった。


「琴音、交替の時間なんだー?」

 直也君が、あたしの肩をポンと叩いた。