「自分でいられるのは、琴音ちゃんの前だけだと思うんだ。だから、力になってあげて欲しい」
おじさんは、すがるような目つきで、あたしを見た。
参ったなー。そこまで、頼まれると何も言えなくなってしまう。
あたしは、小さな溜め息をついた。
「キャー!!」
翌日、学校へ行くと、校内中がお祭り騒ぎになっていた。
「やばいよー。テレビで観るより、超ーかっこいい!!」
女子達が、廊下で騒いでいる。
どうやら、りく君のことで騒いでいるみたいだ。
その騒ぎは治まらず、昼休みのたびに、クラスの子達は、2年のりく君の教室へ会いに行く始末だった。
「琴音も一緒に、りく君に逢いに行こう!」
クラスの子達が、誘ってきたけど、あたしは断る。
「あたしは、いいよ」
「いいからいいから、そんなこと言わずに行こう!」
強引に、みんなに引っ張られて、2年生の校舎へ行くことに。
でも、りく君の教室を覗いたけど、姿はなかった。
「りく、いないねー。みんなして、手分けして捜そう!」
そう言うと、みんなそれぞれ、散らばって行った。
「捜そうと言われてもなー」
