フィンセはナンバー1


「ガムテープ、他の所にも使うみたいだったから、5個はいるみたいだったぜ」

 直也君は、ペイントが入っている箱を探すと、中から取り出しながら言った。

「わかった。5個ねー」

 あたしは、箱の中からガムテープを足した。


 あたしと直也君は、在庫室から出ると、教室へ向かった。


 別れてから、教室とかで、意外と会話することが多かったけど、こうして、教室以外の所で2人だけでいるのは、始めてかも知れない。

 少し、気まずい感じで歩いていると、後ろから歩いて来る女子が、2人でこそこそ話をしていた。

「ねえ、知ってる?りくのクラス。男子が衣装合わせとか言って、メイド服着てるんだって!」

「覗きに行っちゃおうか!?」

 2人は、早足であたし達の横を通り過ぎて行った。


 りく君も衣装合わせしてるのかなー?見てみたい。


「琴音、少し寄り道してく?」

 直也君が、あたしに気を使った。

「ううん。ほ、ほら、みんなが待ってるしー。は、早く教室に戻らないと……」

 あたしは、しどろもどろになりながら応えた。

「はは……。いいよ、気を使わなくて」

「や、やだなー。気を使ってるのは直也君じゃないー」