フィンセはナンバー1


「ごめん、勝手なことして……」

 みんなが、いなくなった後、直也君は、深々とあたしに頭を下げた。

「ううん。いつかは、ばれることだし、これで良かったのよ」

「昨日の夜、考えたんだー。俺達がまだ、付き合ってるなんて、周りが勘違いしてたら、琴音のこと辛くさせるんじゃないかと思って……」

「……」

 直也君の思いやりが、伝わってきて、あたしはキューンとしてしまう。


「琴音、惜しいことしたと思っているんじゃないの?」

 今まで、黙って前の席に座っていた未来が、あたしの方をクルッと振り向いた。

「惜しいことしたって……」

「だって、そうでしょ?南君、誰にでも優しいけど、琴音にだけは特別だもんねー」

 未来が、羨ましそうに溜め息をついた。


 特別ってー、そんなこと言われてもなー。




 下校の時間ー。

 カメラマンが隠れていないか、用心しながら正門から出ていこうと歩き出した。

 でも、帰りはカメラマンの姿が見えなかったので、あたしはひと安心。


 そんなのも一瞬で、あたしの目の前に変装した穂乃花ちゃんが立っていた。

「ちょっと、話があるの」

 穂乃花ちゃんは、静かにそう言った。