「ごめん、勝手なことして……」
みんなが、いなくなった後、直也君は、深々とあたしに頭を下げた。
「ううん。いつかは、ばれることだし、これで良かったのよ」
「昨日の夜、考えたんだー。俺達がまだ、付き合ってるなんて、周りが勘違いしてたら、琴音のこと辛くさせるんじゃないかと思って……」
「……」
直也君の思いやりが、伝わってきて、あたしはキューンとしてしまう。
「琴音、惜しいことしたと思っているんじゃないの?」
今まで、黙って前の席に座っていた未来が、あたしの方をクルッと振り向いた。
「惜しいことしたって……」
「だって、そうでしょ?南君、誰にでも優しいけど、琴音にだけは特別だもんねー」
未来が、羨ましそうに溜め息をついた。
特別ってー、そんなこと言われてもなー。
下校の時間ー。
カメラマンが隠れていないか、用心しながら正門から出ていこうと歩き出した。
でも、帰りはカメラマンの姿が見えなかったので、あたしはひと安心。
そんなのも一瞬で、あたしの目の前に変装した穂乃花ちゃんが立っていた。
「ちょっと、話があるの」
穂乃花ちゃんは、静かにそう言った。
