フィンセはナンバー1


 笑いながら、おじさんはそう言った。


 親子で、どうしてこうも違うんだろう。


「さ、遠慮なく召し上がりなさい」

 次々と、美味しそうな料理が運ばれてきた。

「じゃ、遠慮なく……。頂きます」

「琴音ちゃんは、素直だねー。美味しそうに食べるし」

 おじさんは、あたしの食べている姿を見て、満足そうな顔をした。

「あまり、見られると恥ずかしいです……」

 あたしは、思わず俯いてしまう。

「陸斗も、琴音ちゃんくらい素直ならいいんだけどねー」


 それは言えてる。あいつ、根性がひねくれてるもん。


「その、陸斗だけどー。明日から、琴音ちゃんの学校に転入することになったから、一つ面倒見てあげてくれないかな?」


 やっぱり、転入してくる話は本当だったんだ……。


「あたしがー?学年も違うし……。それに、陸斗君なら他に面倒見てくれそうな人、沢山いると思いますよ……」


「確かに。今は、いろんな仕事をしているせいか、人が集まってくるかも知れない。でも、陸斗にとっては表向きの顔で、そろそろ疲れが出てくると思うんだ」


「……」


 確かに、素があれじゃ、表向きでは自分を抑えているに違いない。