フィンセはナンバー1


 あたしが、お礼を言ったのに、

「バカ!すぐに逃げろよ」

 りく君は、凄い顔で怒った。

「何だか、怖くて動けなかったんだから、そんなに、怒ることないでしょ!?」

 りく君の言い方に、ムッとして顔を背けた。

「マスコミがいなくなっても、カメラマンが隠れているから、油断大敵なんだ。それくらい、わかれよ」

「そんなの知らないよー」

 好きな人の言葉なのに、いちいち、カチンとくる。


「まあまあ、それくらいにしてあげたら、陸斗坊ちゃまー」

 運転席で、聞き覚えのある声がした。

「か、金森さん、お久しぶりです」

 運転していたのは、マネージャーじゃなく、執事の金森さんだった。

「りく君ー。いつも、マネージャーさんに送ってきてもらっているんじゃないの?」

「マネージャーは、風邪引いて休みなんだ」


 騒動で、マネージャーも身体を壊したのかも。


「金森、校舎裏の近くに車を回してくれないかな?」

「はいー」

 りく君に言われたとおり、金森さんは、校舎裏近くに車を停めた。


 あたし達は、誰もいないか確認すると、車から降りた。

 あたしは、りく君に助けてもらいながら、校舎裏へ入る。