フィンセはナンバー1

友達と話していたので、思わずホッとしてしまった。


「琴音……。南君と何かあったの?南君、元気そうに見えるけど、教室に戻ってから、時々、ぼんやりしてるんだよね」

「……」


 直也君、ショックだよね……。

 あたしも、好きな人に振り向いてもらえなかったら、ショックで、どうしていいのかわからない……。

「もしかして、南君と別れたとか……?」

 未来は、コソコソとあたしの耳元で言う。

「……」

 あたしは、ためらいながら、小さく頷いた。

「そっか……。で、琴音はこれから、どうするのー?」

 未来は改めて、あたしを見た。

「どうするって……?」

「りくのことよー」

「……」

 そう聞かれると、考えてしまう。


「穂乃花から、奪う勇気はあるわけー?」

「う、奪うって……」

「だって、普通の恋とは違うんだよ?いくら、キスしたからって、相手は芸能人ー。挨拶代わりにしてるかも。だから、覚悟がないと、無理でしょ」

「……」


 挨拶代わり……。


 あたしの胸が、ズキンと痛くなる。


「とりあえず、りくの気持ちを確かめるのは、文化祭でしかないかもね」

「未来ー。文化祭のことだけど」