フィンセはナンバー1

あたしは慌てて、涙を拭った。

 振り向くと、そこには直也君が立っていた。

「直也君……。今、授業中じゃ……?」

「そうなんだけどー、さぼった」

「……」


 どうしたんだろう……?あたしが、いないから、心配で捜しに来てくれた?

 あたしのこと、まともに見てくれないし。

 そんなこと、あるわけないか……。


 そう思っていたのに、直也君はしんみりした顔で、

「さっきは、ごめん!琴音を助けたわけじゃないなんて、酷い言い方して」

 深々と頭を下げた。

「ううん……」

 気にしてくれてたんだ……?

「催し物のこと、気にするなよー。りくがいなくても、何とか成功させようぜ」

「そのことなんだけど……」


 文化祭に出られないことを、直也君に打ち明けた。


「何だよ、先生の奴!りくにも責任があるのに、あいつには何も言わないのかよ!」

 直也君は、眉をつり上げる。

「り、りく君のこと責めないでー」

「やっぱり、あいつのこと、まだ好きなんだ……」

 直也君は淋しそうに、ボソッと呟いた。

「ごめん。あたし……」

 あたしは、ハッとして口を押さえた。

「やっぱり、俺達……別れよう」