「りくが、転入してくる話でしょ?その話、本当なの?」
りく君が、転入!?
「先生が、校長室で話しているのを聞いた子がいるから、間違いないと思うよ」
あたし、まだ何も聞いてないー。
「坂口さんも、りくのファン?」
女子の方へ、耳を傾けていたものだから、南君が聞いてきた。
「まさかぁー!」
「そうなんだ?真剣に聞いていたから、ファンなのかと思った」
「違う違う。あんな奴の何処がいいのかなと思って、聞き耳を立てていただけ」
あたしは、否定するようにブンブン首を振る。
「あんな奴ってー。まるで、会ったことがあるみたいな言い方だね」
「み、みためで、好きじゃないだけだから……」
苦笑いしながら、授業の準備を始めた。
その日の夕方。三浦社長と食事ならと、夕食をOKした。
「琴音ちゃん。いらっしゃい」
三浦社長は、にこやかに出迎えてくれた。
「三浦社長ー。お招きありがとうございます」
あたしは、丁寧にお辞儀をした。
「あははー!社長って言うのやめてくれないかな?家にいる時は、ただのおじさんだから。気を使わなくていいんだよ」
