フィンセはナンバー1


「りくが、転入してくる話でしょ?その話、本当なの?」



 りく君が、転入!?



「先生が、校長室で話しているのを聞いた子がいるから、間違いないと思うよ」


 あたし、まだ何も聞いてないー。


「坂口さんも、りくのファン?」


 女子の方へ、耳を傾けていたものだから、南君が聞いてきた。


「まさかぁー!」

「そうなんだ?真剣に聞いていたから、ファンなのかと思った」

「違う違う。あんな奴の何処がいいのかなと思って、聞き耳を立てていただけ」

 あたしは、否定するようにブンブン首を振る。

「あんな奴ってー。まるで、会ったことがあるみたいな言い方だね」

「み、みためで、好きじゃないだけだから……」

 苦笑いしながら、授業の準備を始めた。



 その日の夕方。三浦社長と食事ならと、夕食をOKした。


「琴音ちゃん。いらっしゃい」

 三浦社長は、にこやかに出迎えてくれた。

「三浦社長ー。お招きありがとうございます」

 あたしは、丁寧にお辞儀をした。

「あははー!社長って言うのやめてくれないかな?家にいる時は、ただのおじさんだから。気を使わなくていいんだよ」