だけど、嬉しい… っと、思ったのは束の間。 授業終了のチャイムが鳴ると、いち早く美眞のところへ美湖ちゃんが行く。 付けすぎていない香水のいい香り… 軽く巻いた二つ結びの髪が揺れる… 「今日、家…行っていい?」 『バイトないし、いいけど? また何かあった?』 横隣から聴こえる優しい美眞の声。 アタシには掛けてくれない優しい声が美湖ちゃんに向けられる。 見るな見るな見るな! 『凛時、帰るで?』 「あっ、待ってよ!」 バックを肩にかけて、ドア前に立つ創の横に向かって、廊下へ出た。