私は金城のネクタイを掴んで、自分の胸元へ引き寄せた。

「余計なことは考えないでいいの。あなたはあなたの仕事をして、私に400万円を渡せばいい。」

金城はわかったと息苦しそうに言った。

私はその金城をさらに引き寄せ、キスをした。時折、加齢臭漂う口へ舌を入れたり、歯垢の詰まった前歯を舐めたり、分厚い、汚い唇を噛んだりした。

金城はこれは何かと尋ねた。

「強いて言うなら、ある人への私は嘘つきじゃないってことを証明かな。」

金城は私に背を向け、母さん殺害への1歩を踏み出した。

私は振り返り、金城を呼び止めた。

「睡眠薬入れるお酒はワインがいいわ。赤ワイン。名前はファーニエンテ。」

金城は約束すると言い、去っていくのを見届けると、涙が頬を伝った。

意味わかんないこの涙。まだ私の心にも人情というものがあったらしい。