「……死んでるんだね、やっぱり。」

「ああ。ボクもやがてこうなるんだ。」

佐野くんもおじさんの遺体をまじまじと見て、それから霊安室の周りをぐるっと見渡した。

「終わりの場所。人が死んでから一番最初に連れてこられる場所。つまりさー、身内が死なない限りは、実際、死んで初めて入れる部屋ってことになるんだよね。」

終わりの場所……か。

櫻子も優香もここにやって来た。しかし、それは死んでからの話だ。

でも、私はここにいる。死んでもないし、死ぬ予定もないのにここにいる。

いや、もしかしたら、もうとっくに死んでしまっているのか?

優香が交通事故で死んだあの時、実は私も優香の側にいて、同じように交通事故で死んでいるんじゃないだろうか。

私が生きているという証明は一体誰がしてくれるんだろう。

そして、その証明してくれる人も、証明した根拠も、私が作り出した妄想ではないとどうすれば言い切れるのだろう。