私はやり直せる。
病気が今、霧が晴れていくように完治して、金子と一緒にやり直せる。
でも、その金子がまだ電話に出ない。
会いに……行ってみようか……どこへ?
わからない。
金子がどこにいるかわからない。
わからない? 本当に?
いや、わかる。きっとわかるはずだ。
金子を感じるのだ、私の中で。
どこにいるか心に訊けばいい。
不思議と足が動く。
大通りを抜け、ホームセンターを過ぎ、近くのバス停でバスに乗り、一番後ろの窓際の席に座る。
部活帰りの男子高校生が4人と、風呂敷を持ったおばあちゃんが一人、スーツを着たOL。
窓外の景色を見る。ネオン街。綺麗。でも、この光はサラリーマンの残業によってできている。
虚しいね、まったく。



