実際、優香は私の苦手なタイプだった。
今でこそ、「我覇者なり!」みたいな顔してるけど、入学したての頃は、誰とも口を聞けない、アニメオタクにも属しない、陰のような存在だった。
そんな優香を引き込んだのが、櫻子だった。
「可哀想だから入れてあげようよ。」
と提案した櫻子に私は思わず苦笑いしたのを覚えてる。
だって、1人でいるのが好きな子だっているし、自分から積極的に行けない人だっている。
そういう人をひっくるめて「可哀想」と表現し、同情する方がよっぽど惨めで可哀想なのだ。もちろん、それは櫻子もわかって言っている。
空気の味をわかっている。
自分より下に人を作った方が空気は美味しくなるということを。
だから、もし櫻子が自殺なんかじゃなくて、殺人だったら真っ先に疑われるのは、優香だろう。
少なくとも私が探偵なら優香を疑う。
だって、優香も優香で櫻子のことが嫌いだったから。



