そんな優香がフライドポテトの油を気にしながら薬指で器用にスマホを操作し、あるアプリを紹介してくれた。
「なでっこなでしこ?」
「そう。『なでっこ』って呼んでるんだけど、結構面白いよ。2チャンに近いかな。学校や親の愚痴を書いて、それを共有し合うって感じ。」
「なんか悪意に満ちてるね……。」
「まあね。でもそういう掃き溜めみたいなところって今少ないじゃん? TwitterとかFacebookに行き過ぎたこと書き込んだら特定されるし、制裁も受ける。こういうの何て言うんだっけ?」
「私刑?」
「そう。私刑、私刑ね。でも、なでっこは違う。利用者が結構少ないのも理由の一つなんだけど、なんでかわかる?」
ポテトを私に向けながら得意げな優香がちょっとむかつく。



