ライラックの蓋棺


だから捨てられたのではないか、とも。



親に2度も捨てられるなど、それほど苦しいものは果たしてあるのだろうか。



「……っ!嫌いになどなるものかっ!」



ぎゅう、と抱きしめられた。



嫌いにならないでくれるのか、やっぱり大好きだな。ディラのこと。



ディラの身体はいつでも私よりも冷たかったけど、鼓動は私の触れ合ったどの生物よりも力強かった。



____あとね、しってるんだよ。



ディラの爪はとても鋭い事。



私を触る時にはその爪をしまう事。



林檎より、なによりも優しく私を撫でる事。