「くっそー!悔しいー!」




結我が大声で叫ぶ。




順位表を確認した私たちは、すぐさま空き教室へと来ていた。




「私も悔しい…!」




「いや、葉音1位だったじゃん。悔しがる必要なくない?」




春美がジト目で私を見ている。




そう、私の結果は今回も1位だった。




けれど、私の目の前で不服そうな顔をしている碧斗も1位だったのだ。




なんか、勝った気がしない。




やっぱ悔しい!




「でも、燈たち、勝ててよかった〜」




そう、この勝負、結果は私たちが勝った。




「今回は燈さんのおかげで勝てたものですわね」




優奈がそう言って、燈の頭を撫でる。




優奈の言う通り、今回の勝敗を分けるきっかけは燈だった。




私と碧斗が1位で同点。




2位が優奈で、3位は咲満、4位が仲葉だったけれど、点数としてはほぼ誤差のようなものだった。




結我だけは10位にいた。




B組の薙と春美もほとんど点数は同じだった。




残る燈と滾だけれど、燈はB組にも匹敵する順位を叩き出していて、滾と大差をつけての勝利だった。




「さあ、これで、私たちをバカなんて侮辱出来なくなったわけだけど。今までのこと、ちゃんと謝ってくれるのよね?」




私が碧斗に挑発的な笑みを向ける。




けれど、逆に睨みかえされて、何故か黙ったまま。




「ちょっと、何か言いなさいよ」




「うるせぇ」




うるせぇ!?




いやいや、私たち勝ったんですけど!?




私たちが勝ったら、今までのこと謝ってくれるって言ったよね!?




「碧斗〜ごめん〜」




滾が、自分のせいで負けたと自覚しているのか、碧斗に謝っている。




けれど、それも無視する。




どんだけ虫の居所が悪いのよ。




「碧斗はプライドが高いからな〜」




結我が呑気にそう言うと、碧斗がこれでもかというぐらい、結我を睨みつける。




恐ろしい奴。




「碧斗、今回は俺たちが負けたんですから。ここは素直に謝っておきましょう」




珍しく、咲満が私たちに肩入れする。




それを聞いて、碧斗の表情が少し和らいで、はぁと溜息をついた。




咲満には従うのか?




まあ、いつも2人一緒にいるしね。




「…悪かったな」




聞こえるか聞こえないかぐらいの声で、ぼそっと碧斗が呟いた。




「あの碧斗が謝った…」




結我が驚いた顔をする。




結我だけではなく、薙も滾も、目を見開いていた。




いや、私たちより驚くって、どんだけこいつはプライドが高かったのよ。




そんなみんなの顔を見て、多分これが彼なりの精一杯の謝罪なのだろうと、私は心を広くして認めてやった。




「謝罪は受け入れてあげる。あと一つ、今後私たちを侮辱すること言わないって、約束してくれるわよね?」




私たちが勝った時の条件にそれも含まれているのを、私は忘れていない。




「言わねぇ…これでいいだろ」




どこか疲れたような顔で、碧斗はそう言った。




それを聞いた私は、勝ち誇った笑みで、




「いいわよ」




そう言って、私たちの勝負は幕を下ろした。