あなたのヒロインではないけれど





(やっぱり……大した理由はないんだよね?)


ネイサンさんのセクハラ(?)から守ってくれるのも、私に触れるのも。それが“私”だからではなく、女性なら誰でも同じ。


氷上さんは優しいひと……私が特別だから、なんて理由はきっと、ない。


例えば、仲田さんでも……


(ゆみ先輩になら……氷上さんもきっともっとあからさまなんだろうな。ぼくの恋人だから触るなとか……ふざけ半分でなくて、本気で怒って……)


何だかやりきれない気持ちを抱えた私は、飲み物を追加しようとメニューを見る。


(ピーチフィズ……何だか美味しそう)


カクテルのメニューにあったそれを注文すると、なぜか隣にいた結城さんが目を見開いた。


「おいおい、ビールも飲めないのにいきなりカクテル頼んで大丈夫なのか?」

「え」


目を瞬いて結城さんを見ると、仲田さんが唐突に彼と肩を組んできた。


「いいじゃない! 知之。一度酔った鵜野さん見てみたいわ~」

「ちょ、美子。いきなり絡み酒かよ。だからほどほどにしろって言っといただろ」


仲田さんは結城さんに「二次会、カラオケね~」と言いつつ、上機嫌で鼻歌を歌い出す。絡まれた結城さんは苦笑いしつつ、「水飲めよ」なんて世話を焼いてるから、なんだかんだ言って仲が良いみたい。


ネイサンさんは終いには氷上さんに抱きついてるし、手持ちぶさたになった私は運ばれたグラスを手にした。