あなたのヒロインではないけれど




私はビールが苦手だけど、雰囲気を壊さないためにちょっと口をつけてみた……だけど、やっぱりほろ苦くて。喉を通る時の熱さがどうも好きになれなかった。


メニューにビールに似た「こどもビール」があったから、こっそりとそれを注文して、それだけをちびちびと飲んでた。


「ユーミ~飲んでルカ? OUCH !」


顔を真っ赤にしたネイサンさんが私に寄って両手を広げた瞬間、彼の顔が手のひらに包まれた。


「バカ! 何度言えば解る? 鵜野さんに触るな」

「何でダメナノ? タカアキ触ってるジャン!」


またも止めた氷上さんに対して、ネイサンさんが文句を言い出した。


「タカアキ、ボクがユーミに触っちゃダメって言うのに、自分は触ってる。オカシイよネ」


ネイサンさんの不満げな言葉に、そういえばと気付いた。


氷上さんが……私の肩に触れていたんだって。


たぶん、とっさにネイサンさんから庇おうとしてのことだと思うけど。急に彼のことを意識して、ドキドキし出した。


そっと外された手が名残惜しい……まだ、触れられた場所が熱をもったように温かく感じる。


「……おかしくなんかないだろ。おまえの過剰なスキンシップはいつも行き過ぎるんだ。彼女はそんな軽い女の子じゃない。だから、おまえの毒から守るのは当然だ」

「エ~! ボクはポイズンじゃナイヨ! 有益なヒューマンダヨ」

「おまえ、人間だったのか。初耳だな」

「タカアキ、酷いヨ! これでもボクはホモサピエンスダヨ!」