あなたのヒロインではないけれど




氷上さんが頑張れば頑張るだけ、ゆみ先輩への想いを確かめることになる。


辛いし、悲しいし、虚しい。


……だけど。


それでもやっぱり、私は氷上さんが笑っていて欲しい。


このプロジェクトが上手くいけば……氷上さんは主任になれるかもしれない。そして、ゆみ先輩の夢を叶えて……きっと最後は二人のハッピーエンド……結婚。


(耐えられる? ううん……耐えなきゃいけない。恋人がいる人を好きになったなら……抑えるのは当たり前だもの)


ましてや、二人は何十年来の幼なじみで家族ぐるみでのお付き合い。誰も仲を割くなんてできないだろうな。


(二人がしあわせになれたなら……きっと私も諦められる。だから……一生懸命に取り組もう)


流れそうな涙をぐっと飲み込むと、ムリにでも口の端を持ち上げる。今は、笑わなきゃ。みんなを安心させるために。


「そうですね……ネガティブになるより……もっと明るいことを考えるようにします。ありがとうございます、仲田さん」


涙を、見せまいと決めた。

すぐにめそめそ泣いてしまう私だけど、この人たちの前では泣くまいと。


強く、ならなきゃ。


決して悟られないためにも。好きな人に笑っておめでとうと言えるように。