確かに、仲田さんの言う通りだ。
私はすぐに後ろ向きになってしまうし、恐れから立ちすくむことが多い。
だけど、と自分の描いたスケッチブックを前に本来の目的を思い出した。
“……ゆみのために、作りたいのです。最高の……作品を”
氷上さんが切なげな顔で出した言葉は、私と同じ思いだった。
幼いころに、たった一度関わっただけ。助けて家に招いて……その後ほとんど関わりなど無かった。
でも、それでも。
幼年期。母方のおばあちゃん以外はまともに話を聞いてくれる人がいなかった私にとって、自分の世界を認めてくれる人がいた。そして、同じような夢を抱いてくれた人。
それだけで、“ゆみちゃん”は、私の特別になったんだ。
寂しかった私に、仲間がいることを教えてくれた。
3年生になってクラス替えで真湖が友達になってくれるまで、“ゆみちゃん”と“たかあきくん”は、私の憧れで親しみを持てた相手で仲間だった。
人気のある二人に私が近づくなんて到底無理で、挨拶だってできなかったけれど。二人が居てくれただけでどれだけ励ましになったか。
“世界的に愛されるキャラクターを作りたい”
……今、彼女はその夢をどうしたんだろう?
氷上さんは“彼女のために作りたい”と言ったから、何らかの事情で諦めてしまったの?
だから、氷上さんは彼女の代わりに玩具会社に入り今回の企画を手がける決意をしたの?
“ゆみ先輩”を氷上さんがどれだけ愛しているか……その想いの深さを見せつけられた気がして、胸がズキンズキンと痛む。



