「そ、それでしたら……あの。きちんと書類を作ってます」
SS社を初めて訪れた時にはちゃんとした話がまとまり、アルバイトとして報酬を頂ける契約になった。だから、手抜きをするつもりはない。
「そう。仕事は捗ってる?」
「……は、はい」
私がちゃんとした扱いで安心したのか、一美店長から訊ねられたけど。詳しい内容は守秘義務があるので詳しくは話せなかった。
「……どうやら、上手く行ってるみたいね」
どこからどう掴んだのか、一美店長はにっこり笑ってそう断言する。そして、予想だにしないひと言をくださった。
「実はね……“ミラージュ”の本社からお話があったの。今、あなたたちが手掛けてる企画を、SS社との共同開発にするって。だから、鵜野さん。あなたはあちらのお仕事をメインにすると良いわ。もちろん、こちらも出勤扱いにするから安心して」
「……え」
未だ理解出来ていない鈍い私のために、一美店長はもう一度説明をしてくれた。
「鵜野さん、あなたは午前中はこちらで。午後からはSS社で企画に携わるのが主なお仕事になるの。もちろん、柔軟にシフトを組むからどちらに重点を置くかはあなたの自由だけどね」
パッチリウインクした一美店長に背中をポンポンと叩かれ、ようやく理解した私は。茫然自失状態だった。
(そんなに……氷上さんと一緒にお仕事を……)
嬉しい……けれど、苦しい。
今でさえ、一生懸命自分を抑えているのに。これ以上一緒にいる時間が長くなったら。
(どうしよう……)
傾きそうな気持ちを抑えきれる自信なんて、これっぽっちもなかった。



