「鵜野さん、ちょっといい?」


ミラージュに出勤した途端、一美店長に呼ばれて驚いた。何だろう? また仕事でミスでもしたかな? と不安になりながら、事務室に入った。


三畳間ほどの広さの事務室で店長に折りたたみ椅子に勧められ、恐々腰を下ろした。店長は自分の椅子に座り、こちらへ向き合う。


「単刀直入に訊くけど、今、鵜野さんはSS社の……氷上さんの仕事をお手伝いしているのよね?」

「はい……」


それが、なにか不味くなってしまったのかな? 以前氷上さんがお店で申し出た時、店長もかなり協力的だったけれど。もしかすると事情が変わったのかも。


「あの……なにか不味いことでも?」


思い切って、自分から訊ねてみた。


「ああ、ごめんなさいね。そんなふうに怖がらせるつもりもないの。
ただ、今あなたはこのお店で働いてからプライベートな時間であちらのお手伝いしているでしょう?
動機や方法は何であれ、商売に関わる以上はきちんとした対価……つまり報酬を得なくてはと思うの。その辺りはどうしていらっしゃるのかしら?」