「ま、この部屋じゃ寒いものね。だけど、防音を考えたらここが一番だから」
仲田さんが近くにカーボンヒーターを持ってきてくれたお陰で、ほんのちょっぴり暖かくなってきた。 それでも指先が冷えてたからか、仲田さんが驚いて「冷え冷えじゃない!」と叫んだからか、頭に何かが降ってきた。ふわふわした柔らかい感触。ブランケットっぽいものを、誰かが被せてくれたらしい。
「ユーミ、使って! ボクのだから、遠慮しないデ」
「なら、オレのカイロも……」
ネイサンさんがブランケットを、結城さんが使用中のカイロを分けて下さって。お陰で体が芯まで暖まってきた。
そんな皆さんの思いやりが嬉しくて、自然と口元が綻びお礼を言うことができた。
「……ありがとう……ございます」
そうこうしているうちに、氷上さんがトレイを持って戻ってきた。慌てて手伝おうとすれば、先にネイサンさんがカップを受け取った。
「ハイ、ユーミの分ダヨ」
「す、すみません……ありがとう……ございます」
「イイヨ! ユーミのためならこれくらい大したことナイシ」
にこにこと明るい笑顔のネイサンさんは、先日の彼と同一人物とは思えない。
だけど、たぶん。彼は油断なく私を見張っているはず。私が氷上さんと関わるところを。
(気をつけなきゃ……私が氷上さんを知ってると気付かれないように)
キュッ、と両手でココアが入ったマグカップを掴んだ。



