「WAO! ユーミ、見て! 惚れ薬に笑い薬って。ホントに効くのカナ?」
……あれ?
次に聞こえたネイサンさんの声は楽しげな笑いで、思いっきり拍子抜け。
ネイサンさんはその後も、珍しい商品を見つける度に大騒ぎ。バレンタイン用の特設売り場の隅から隅まで堪能してた。
その間にも、ネイサンさんのさりげないアドバイスでSS社の皆さん用にチョコを選ぶことができた。
お酒好きな結城さん用は、洋酒が入ったボンボンの詰め合わせ。
チョコ好きな仲田さんにはバラエティアソート。
ネイサンさんにはパロディチョコを幾つか。
……そして、氷上さんには……。
なぜか、ネイサンさんは氷上さんだけは話をスルーしていて。別れ際までひと言も触れなかった。
笑顔で「楽しみにシテルよ」なんて手を振りながら去った彼を見送ってから、チョコ売り場に戻って薄々ネイサンさんの意図を感じてた。
もしかすると、彼は私を試すつもりなのかもしれない。最初に氷上さんについて触れたのは彼なのに、その後まったく話題にもしないのは不自然。選んだチョコで私がどれだけ彼を知ってるかを計るつもりなのかも。
牽制とも取れるあのひと言で、ネイサンさんが氷上さんの事情をある程度掴んでいて、私によい印象を抱いてなかったというのは理解した。
でも、だからといって彼に選ぶチョコを手抜きなんてしたくない。
(いい……よね? ネイサンさんがどう思おうと……わ、私の気持ちの問題なんだから)
別に、何かを期待するんでなし。ただ、動物園のお礼もしたい。ただそれだけだから。



