きっと、仲田さんはプレッシャーを掛けて私の反応を見てる。もしも私と氷上さんが初対面でも、今まで接しただけで彼が誠実で責任感が強く真面目だと言うことは判る。


だから、彼の足を引っ張りたくないなら辞退するか、本気で取り組めと。生半可な覚悟なら身を引けと。


(……私は……)


胸にそっと手を当てて考えてみる。本業が別にあるのに、彼らが望むような協力が出来るのか? 決して諦めずに、最後まで責任を持って取り組み努力出来るのか。


そして、何より。


“売れる”魅力的なコンテンツの提案が出来るのか。


(自信なんて……ない)


胸に当てた手のひらを握りしめ、拳を作る。雑貨屋の店員に過ぎない私は……出来るんだろうか?


「……自信なんて……ありません」


ぽろり、と本音が出た。きっとここは、嘘でも「あります!」と言い切るのがベストかもしれないけど。


私は……氷上さんにも、彼の同僚にも嘘をつきたくなかった。


「私は好きで……趣味で手芸をしてきただけの……ただの一介の店員に過ぎません。なぜ……氷上さんが気に入ってくださったのかはわかりませんが……彼の期待に、答えたい……そのために一生懸命頑張りたいです」


言葉にしていくうちに、はっきりとしたカタチになる――自分の望みが。


“氷上さんの役に立ちたい”

“彼のしあわせや笑顔のために頑張りたい”――それが、嘘偽りない本当の気持ちだった。