あなたのヒロインではないけれど





自販機コーナーの前に、椅子やテーブルが幾つかある。そこに連れてこられて、氷上さんは渋い顔でいたから。こりゃ奢りかなと覚悟した。


「ぼくを笑った罰です! 大人しくジュースを」

「わ、わかりました……買ってきますね」


小銭入れを持って立ち上がろうとすると、なぜか氷上さんは猛ダッシュ。素早く500円玉を投入して、私に宣言した。


「私にジュースを奢られてください」

「……え?」


意味がわからなくて首をかしげると、氷上さんは更に500円玉を投入して、とんでもないことを言い出す。


「30秒以内に決めてください。でないと1000円を使って全種類買いますから」

「え……」

「はい、カウントダウン開始! 30……29……28」


カウントダウンなんて急に言われても。でも、1000円分なんてとんでもない。おしるこやお水はともかく、激辛ソーダやカレー味の紅茶なんてとんでもないキワモノもある。


氷上さんのお金がそんなものに遣わせる訳には、だけどなぜ罰で奢られる方に? おかしいけど……残り数秒しかなくて、頭が真っ白になり。慌てて口から出たのは。


「あの……ミルクティーで……」


結局……奢られてしまう選択でした。