あなたのヒロインではないけれど





「わぁ! ゾウさんすごい。お鼻器用だねえ」

「そうね。子どもの頃からあんなに長いのよ」

「へえ~」


動物の、その癒しの力や存在感はすごい。みんなをこれだけ笑顔にできるんだから……。


「次、あちらに行きましょうか」


なぜか氷上さんは私の手を取ると、そのまま引っ張られやって来たのは鳥がいるスペース。トンネルの窓からは様々な種類の鳥をガラス越しに見ることができた。


「わぁ……」


色鮮やかなフラミンゴ。おとぼけでコミカルな表情が楽しいオウム。極彩色のクジャク等々……普段間近に観られない鳥がたくさんいて、ガラスに張り付くように眺めた。


「フラミンゴって……全身が真っ赤な訳じゃないんだ」


小さく呟いただけなのに、「そうですね」と答えが返ってきて驚き、振り向けば氷上さんも同じフラミンゴを見てた。


「なぜ、フラミンゴはクチバシの先だけ黒いんでしょうね? ぼくは必要ないと思いますけど」


いつもの紳士然とした感じではなくて、眉間にシワを寄せて考え込んでる。心底疑問に思っているとその表情が語っていて。


いい年をした男性なのに、妙に子どもっぽい。何だか……おかしくなり、フッと笑ってしまいました。


「あ、鵜野さん。笑うなんてひどいな~ぼく、これでも真剣に悩んでるんですけど」


怒っているようには聞こえない、それでも多少拗ねたような口調で氷上さんが言って。それで、ますます可笑しくなって少しの間笑ってしまいました。