あなたのヒロインではないけれど




大きな体つきだけど、案外気さくで取っつき易そう。


けどそれよりも、と私は自分に言い聞かせる。


(氷上さんが私と仕事仲間を引き合わせてくれたのは……きっと私に期待をしてくれてるから。その信頼を裏切っちゃいけない)


いくら人見知りがあったとしても、私個人は仕事でなくプライベートで遊びに来ていても。氷上さんの紹介でお会いしたんだ。彼の顔を潰さないために、しっかりしないと!


他人……特に男性に対してはよい思い出がなくて、苦手意識しかないけど。社会人として、大人として。個人の好き嫌いは無関係。


(よ、よし……)


深呼吸を何度か繰り返して、震えて冷たい指先をもう片方の手のひらでギュッと包み込んだ。


「あ……あの。ミラージュK支店で働く、……う、鵜野 結実と申します。その……今日は氷上さんにお誘いいただきまして……お招き、ありがとうございます」


それだけ喋るのに一杯一杯で、すぐに頭が真っ白になり。挨拶が終わったと同時に頭を下げた。


(こ、これでいいよね? おかしくないよね……?)


ビクビクしながらお二人の反応を待ってると。


なぜか、結城さんに「ぶはっ!」と噴き出された。


「がはははは! 結実ちゃん、めっさ面白い! マジで天然だわ~……イタタタ」

「真面目にやってる人を笑うな。鵜野さん、ごめんなさいね。男って、ホントにデリカシーの欠片もない馬鹿ばっかで」


何かと思って顔を上げると、結城さんの耳を仲田さんが思いっきり引っ張ってた。相当伸びて真っ赤になってましたから……かなり痛いでしょうね。