ハリウッド俳優か一流モデルかと見まごうほどの美形外国人さんが、女児向けアニメの萌えについて語りだす……うん、誰もがフリーズしても仕方ないよね。


「……すみません……人選間違ってる気がしてきました」

「い……いえ」


氷上さんに平謝りされても、その顔で笑いそうになって、必死に堪えてた。


今、本来の目的であるコウノトリの観察中。SS社のそばには湖沼地帯があって、コウノトリはそのそばに飛来してる。


翼を広げると2m近くあるだけあって、飛翔姿はかなりの迫力。白い羽毛に風切り羽は黒く、長い脚はオレンジ色でツルやサギに似てるけど、首はもっと太くて長いクチバシは灰色。


「野生のコウノトリ……初めて見ました」

「よかった。大陸から飛来したと思うんですけど、繁殖に取り組む自治体も増えてますから。もしかするとそこから来たのかもしれませんね」


興奮が抑えられない私を、氷上さんは微笑んで見守ってくださってた。


「とても素敵なことですよね。かつて空を舞っていた鳥が姿を消しても。こうして再び見られるようになるって……夢みたいです」


そう、こうやって無くしたものを取り戻すことはできる。なくすことは簡単だけど、再び戻すのはとてつもない努力が必要だ。でも、諦めたらそこで終わり……。


そこで、氷上さんがポツリと呟いた。


「……鵜野さんの夢も……諦めることはないと思います」