あなたのヒロインではないけれど




忙しいのに!と半ばぶちギレながらも、姉は外出着のコーディネートまでしてくれて感謝です。


チェックのカシュクールワンピースと、キャラメルカラーのダッフルコートにタイツと裏起毛のショートブーツ。


メイクもバッチリで髪も姉の手でくるくる巻かれ、見た目は普通程度に……なってるといいな。


(どうせ会うなら……地味なままより、少しは素敵になって見てもらった方がいいよね)


氷上さんとどうこうなるつもりはないけど、やっぱり記憶に残るならちょっとでもいい風に憶えていてもらいたい。自分がそんなふうに考えること自体が驚きだけど。後ろ向きよりはマシ、と半ば自棄に近い開き直りをしてた。


自転車で行く、と話したのに。兄が送ってくと言い張って譲らなかったし。仕方ないから兄の車にお世話になります。


3つ年上の兄は何かと過保護だからなあ。兄はフレックス制の勤務だから、お昼に出勤なんてうらやましいけど。


ただ、SS社と聞いた兄はなぜか眉を寄せた。


「SS社? あの大手玩具メーカーに何の用事があるんだ?」