あなたのヒロインではないけれど




“どうせ見るなら明るいうちがいいですよね”


氷上さんがおっしゃるのもごもっともで、1月の末の夕方6時はもう真っ暗だ。そんな中で野生の鳥を見ようとしてもとても難しい。


“幸いコウノトリは私の職場の近くに出ますから。私のお昼休みに観に行きましょう”

なんて理由で、よかったらお迎えにいきましょうか? なんてとんでもない提案をされたけど、さすがにそれは断りました。自転車があるのでそれを使います。


お迎えだなんて。恋人でもないのにそこまでされるのは嫌だし、それに初恋かもしれない人にまだ同じ街に住んでいると知られたくないから。


だけど、とお風呂に入って冷静になった私はただ1つの難題にぶち当たった。


鏡を見れば、当然ながらすっぴん。昨日氷上さんと会った私は真湖に顔面偽造をされて、別人と化していた訳で……。


すっぴんを見れば、小学生からまったく成長していない。良く言えば若々しい。悪く言えば幼いお顔が。


(このまま素顔だと……氷上さんにばれるか、思い出されたらどうしよう)


さあーっ、と顔から血が引くのを感じた。


そして。


「お姉ちゃん……お願いします。メイクしてください……」


朝の支度でバタバタしてる姉の美しいお顔を、般若のように歪ませてしまったのは私でした。