あなたのヒロインではないけれど





だけど、やっぱり二人きりでないとはいえいきなり会うのは……と、私の中では生来の内気な性格が頭をもたげる。


初対面の人が来るならなおのこと。働くようになってだいぶ改善したとはいえ、趣味以外で会うのは人見知りが必ず出てしまう。


それに、昨夜帰って一晩近く考えた末、協力を承諾したことを後悔し始めてる。どうにか関わりを無くして、早いうちに断れないかと考えてもいた。


(そうだ。断るならまだ何もない時の方がお互いのためになるよね)


一度承諾して断るのは社会人として失礼だろうけど、別に私は氷上さんの会社の社員でもないし、本来の業務に関わるものでもない。どんな選択をしても自由なはず。


(そう、今日は用事があるとお断りしよう。私だって……その気になればいくらでもスケジュールを作れるんだから)


たぶん、真湖は余計なお世話ついでに私の生活パターンも伝えてる。休日に私が部屋に引き込もってハンドメイド作品を作るという過ごし方を。


だって、真湖はやけに氷上さん推しだった。過去の恋を忘れるために、新しい恋をしろと。リアルな恋人を作ってみなさいと叱咤してくれた。


(でも……もしかすると氷上さんが私の初恋の“たかあきくん”=皐月先輩かもしれないって。よもや真湖だって思いもしないんだろうな)


私だってアメリカに渡ったはずの皐月先輩がなぜ日本の会社で働いているのか……と疑問は尽きないけど。自分の気持ちにストッパーをかけるため、もう関わらないと決意をしかけた。