あなたのヒロインではないけれど




二人は何でもない風に言うけど。たかあきくんは池に入って何時間も探してくれた。ゆみちゃんは泥まみれのいびつなクマを抱きしめて、かわいいって認めてくれた。


初めて……他人にこんなに優しくしてもらえて。私の瞳からポロリと涙がこぼれる。


「あ、どうしたの? やっぱりどこかケガでもした?」

「ゆみ、おまえが意地悪でもしたんだろ」

「バカ! あんたじゃあるまいし。ええと……そうだ! ぬいぐるみ洗おうよ。きっとピカピカになるから」


二人を慌てさせたことが申し訳なく、でも。何だか嬉しくて泣き笑いしながら素直な気持ちを口にできた。


「ひっく……ありがとう……ありがとう……ありがとう」


その後、洗われたぬいぐるみはどうしても完全に汚れが取れなかったけど。


私にとっては、何よりもかけがえのない宝物になったんだ。


寂しい時や苦しい時……嬉しい時や幸せな時。たくさんの時間を共有してきた。


初めての、恋も――。