あなたのヒロインではないけれど






「もう一度、はじめからやり直そう」


貴明さんは一度離れると、私と向き合う。そして……この上ない真剣な眼差しをくれた。




「鵜野 結実さん……ぼくは、あなたが好きです」




桜の花びらが舞い散る中で――


はじめての恋の言葉は、少しぎこちなくて。


私が涙を流しながら見た顔は照れくさそうに笑ってた。




やっと……私たちは始められる。


これから、始まる。


最初で最後の恋が――


私は、伸ばされた彼の手を取った。




「……はい。私も好きです……ずっと……これからも」




20数年の時を経て、私はようやくあなたのヒロインになれた。



これから、新しい物語を紡いでゆく。




ずっと……あなたと一緒に――。




(終)