あなたのヒロインではないけれど






馬鹿な、愚かな私。今の言葉は告白したも同然。


けれど、もう構わない。


たとえ嫌われようと今想いをぶつけないと、きっと一生後悔するから。


私の告白に、貴明さんはもう一度息苦しいほど抱きしめてきた。


「ありがとう……だけどやはり、ぼくはあのままでは駄目な人間だった。君に甘やかされ……お互いを駄目にしてしまう危険性があったんだ。

ぬるま湯は確かに居心地がいいけれど、そこに浸かってばかりでは進歩がない。だから敢えて世界の各地に出向き、自らの手でアースィを売り込んでいった。厳しさの中に己を置いて自分を成長させようとした……君の前に出ても恥ずかしくない人間になるために」

「……私の……ため?」


驚くしかなかった。貴明さんがそこまで考えていたなんて……瞬きの度に涙が出そうになって、そっと瞼を押さえた。


「ああ……まだまだ未熟かもしれない。だけど……ぼくが待てなかったんだ。
アースィが遂にアメリカで認められて賞を得ることができたから……それをきみに一番に報告したかった」


貴明さんが内緒だよ、と教えてくれたものは。日本でさえ誰もが知る有名な賞の受賞で……

信じられない思いで聞いていると、貴明さんが不意に真顔になった。


「今さら虫のいい話かもしれない……けど、少しでもぼくを思うなら。もう一度チャンスをくれないか?」