あなたのヒロインではないけれど




私が唯一恋をした人は……


5年前に名乗りを上げた時は騒然としたし反発も強かったけど、今では正式なSS社の後継者として認められている。


あれからアースィシリーズを本格的に展開し、世界各国への展開を進めたのも彼の功績だ。


ここまでヒットし世間に浸透するなんて、企画を動かし始めた6年前に誰が想像出来ただろう。


ゆみ先輩の想いを受け継いでたまたま私が好きな分野でチャレンジしただけなのに……当の発案者である私でさえ予想外過ぎた。


私が驚いたのは、アースィシリーズが決して私の意図から外れた展開をしなかったこと。


あくまでも幼児向けの体裁を保ちながら、大人でも楽しめるクオリティ(高品質)を基本に。無理に他の世代に向けた商品作りをしなかったこと。それは感心したし、感謝もした。


まるで私の心を解っているような……


(いいえ、そんなことはない……あの短期間でそこまで私を理解するなんて不可能だ)


都合のいい解釈をしそうになり、首を横に振った。


けど……旧姓ではなくきちんと“皐月”を名乗り始めた彼は目覚ましい活躍ぶり。やっと本来の自分を認めて出せるようになったんだ……と。安堵しつつ、遠くから彼を見守る楽しみがあった。


……いつかはふさわしい人を迎えたと報道されても平気なように、と心を準備しながら。